京大“ギャング旋風”勝って常識変える

 京大が日本一を目指して何が悪い‐。アメリカンフットボール部ギャングスターズは本気だ。秀才のイメージが強い京大だが、野球部はプロ注目のエース田中英祐投手(4年)を擁し、今春のリーグ戦で23季ぶりとなる勝ち点を同大から獲得。6月には陸上部が41年ぶりの全日本大学駅伝出場を決め、ウインドサーフィン部は昨年の全日本インカレで優勝した。関西学生アメリカンフットボールリーグ開幕は29日。他部の活躍に刺激を受けたギャングスターズも、旋風を起こす準備を整えた。

 昨秋アメフット部は大学日本代表13人を擁した立命大から13年ぶりの勝利を挙げた。確かな自信をつかんだ1勝。「口で言っても思い描けない部分はあったけど、本当にやればできるんだと思えた」と、当時1年生だったWR河野は振り返る。

 西村大介監督(37)は、さらに先のことを考えていた。「立命に勝てたのは大きいが、このままではずっと優勝できないと思った」。従来、京大では学生コーチがチームを指導していたが、覇権奪還には本格的な指導者が必要だと感じていた。そんな折に知人の紹介があり、NFLパンサーズでプレーしたアダム・シュワード氏(32)のLBコーチ招へいが決定。28日にチームに合流する。

 「2年後にはチームミーティングを全部英語にしようかな」と西村監督。12年の就任時から、斬新な発想で効率的な練習法を導入してきた。DB吉村主将(4年)は「今までは練習中に“ナイスプレー”なんて褒めることはなかったから、最初は戸惑った」と話す。

 “本場”に触れるのも“新・京大流”だ。吉村主将ら部員数人は2年前に3週間渡米し、テニスの錦織圭の本拠地でもあるスポーツ選手の総合養成学校、IMGアカデミーで指導を受けた。「みんな真剣に楽しんでいた。でも、コーチの言うことは変わらないし、やっていることは間違っていなかった」と振り返る。昨年12月には部員の8割がハワイボウル(米カレッジのフットボールゲーム)を現地観戦した。

 指揮官も2月末から3カ月渡米し、コーチングを学んだ。8月からはアップ中にハイテンポな音楽を流すなど、変化をもたらし続けている。

 一大工事が躍進を後押しした。昨年4月に本拠地・北部グラウンドが一新。フィールドは土から全面人工芝に、陸上トラックもウレタン舗装で全天候対応となった。QB林田(4年)は「試合は芝。土と芝だとWRがストップするタイミングも変わるし、感覚も違う」と変化を歓迎する。

 野球部や陸上部に後れを取るわけにはいかない。WR山本(4年)は「僕らの方が頑張っている自信がある。誰もが勝つと思っていないからこそ僕らが勝って日本(の常識)を変える」と意気込む。吉村主将も「京大がスポーツで勝つことに魅力と意味がある。甲子園や(ライスボウルの会場)東京ドームに戻る姿を見せます」。見据える先は頂点だ。勝負の時来る。この秋、ギャング旋風に要警戒だ。

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