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藪もV特急に乗り込んだ

阪神7−1広島

5月21日・甲子園
 
 「阪神快速V号」に、ようやくこの男が乗り込んだ。中13日と登板間隔の開いた藪恵壹投手(34)が、7回1失点の力投。5月1日の巨人戦以来、20日ぶりに今季3勝目を挙げた。初戦は桧山、そして2試合目が藪。乗り遅れていた男たちが連夜のヒーローとなり、阪神はさらに盤石となった。
広 島
阪 神
×
勝:藪3勝S:−
本塁打:片岡5号、矢野4号
粘り強く投げ続けた藪は7回を1失点、3勝目

 うれしくないはずがない。久しぶりのお立ち台。でも、喜びは控えめだった。「最少失点で防げたので、良かったです」。藪の口から言葉が発せられる度に、スタンドは大歓声に包まれた。それでも、クールな立ち振る舞い。スポットライトは逆に、苦しみを知った男にしか出せない「渋味」を際立たせていた。

 期するものがあった。中13日。先発予定だった14日の広島戦(米子)が雨天中止になり、藪はローテを1回、飛ばされていた。「なかなか登板が回ってこなかったんでね」。これまでローテの中核を担ってきたが、いつしか、ほかの投手が順番を優先される立場になっていた。だから、この登板にかけていた。

二回、逆転5号2ランを放つ片岡

 そんな意気込みとは裏腹に、マウンドではどんな場面でも冷静だった。初回。二死二塁から新井に先制の左前打を浴びたが、直後に巧みなけん制でアウトを取り、流れを切った。その後も再三、走者は出すが、3併殺を奪い、踏ん張った。

 「ランナーを出してからの締め方というかね。ゴロが欲しいところでゴロを打たせられた」

 140キロを超える速球はほとんどなかったが、変化球をとにかく低目に、内外角を丁寧に集め続けた。勢いよりもコーナーワーク。広島には昨季も4勝、通算でも25勝を挙げていたが、そんな相性の良さを超えた「大人」の投球が光った。

八回2ランを放ち片岡に祝福される矢野、この日4打点と荒稼ぎ

 ローテを外れている間、藪は中継ぎ要員に回った。巨人戦でも、2戦目までブルペン待機。「ずっと準備をしていたよ」。今では涼しげに振り返られるが、そのプライドは微妙にくすぶられていた。黙って、汚名返上の時を待っていた。

 白星は1日の巨人戦以来である。その間、フォームの微調整にも取り組んだが、体調管理にも気を使ってきた。数年前まではナイター後に腹一杯、食べていた食事の量を減らし、サプリメント類も積極的に摂取する。不断の努力が、復調をアシストしていた。

 7回を4安打1失点。球数も81球。完投ペースだったが「何でも早め、早めに」とは星野監督。いいリズムで次回に臨むために、首脳陣はあえて降板させた。「とにかくチームの調子がいいからね」。もう一喜一憂はしない。再びエースと呼ばれる、その日まで―。年輪を重ねてきた男は、動じず、静かに歩み続ける。(岡本浩孝)


 激闘ダイジェスト
 1回表  先頭の森笠が左前打。2死2塁となり、新井の左前適時打で先制される
 2回裏  桧山が中前打。続く片岡の右翼2ランで逆転に成功
 6回裏  1死から赤星が四球。2死となるも桧山、片岡の連続四球で満塁。アリアスが押し出し四球。矢野の左前2点適時打で5−1とする
 8回裏  1死後、アリアスが四球。矢野の左翼2ランでトドメを刺した

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