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3連敗は絶対にしない

ヤクルト4−5阪神

4月17日・神宮
 
 楽勝が一転、薄氷を踏む辛勝になった。正直、負ける…とまで思った。浜中と金本に初のアベック弾が飛び出した試合。負けていれば、より大きな痛手を被るところだった。しかし、勝った。星野政権初の同一カード3連敗を阻止。このメモリアルな勝利を手土産に、甲子園で再進撃や―。
阪 神
ヤクルト
勝:井川2勝 S:ウィリアムス4S
本塁打:浜中5号、金本2号
浜中がレフとに弾丸ライナーの5号!八回には金本も一発、初のアベック弾となった

 金本が沸き返るスタンドに目を向けてつぶやいた。「お祭りやね」―。そして、揺れ動くメガホンを見ながら「勝って(甲子園に)戻るのが一番やからね」と続けた。楽勝が辛勝に変わったが、3タテを阻止できた。金本の前を歩く浜中が「あしたから、仕切り直しですね」と笑った。

 神話は守られた。02年3月30日の初戦以来、星野阪神は一度も同一カード3連敗を喫したことがない。この試合に負ければ、2年目にして初の汚点となる。しかし、その危機を、2人の主砲が救った。

三回には今岡に続いてタイムリーを放った赤星、八回には死球を受ける

 まずは4番・浜中。2点リードの四回。戎が投じた141キロの内角球にに鋭く反応。打球は、虎党の待つ左翼席へと消えた。“予告弾”だった。この打席に入る前、浜中は左翼席をチラリと見やった。黄色と黒のメガホンが、自分だけのために揺れている。8試合ぶりの一発は、いま視線を向けたばかりのあの場所に、寸分たがわず吸い込まれた。

 「久しぶりですね。最近、納得できないバッティングが目立ってたので…」。宿舎では、田淵チーフ打撃コーチと何度もビデオでフォームチェック。その努力の成果に、安堵の表情を浮かべた。初戦を発熱のためにスタメン落ち。指揮官から言外に叱責された。この5号ソロは、信頼を置いてくれる監督に対する償いの一撃でもあった。

八回に突如崩れ4失点を喫したものの2勝目を挙げた井川

 そして金本。八回、2番手・成本の126キロを強振すると、打球は白い弾丸と化して右中間に飛び込んだ。「弾道が低くて、入るかどうか分からんかった」。それくらい強く、鋭く飛んだという証拠だ。結果的に、これが試合を決める価値ある一発となった。

 キャンプから待ち望んでいたアベック弾。開幕18試合目でようやく飛び出した。こんなメモリアルな試合、負けたらシャレにもならない。六甲おろしがこだまする神宮の空を、2人はまぶしそうに見つめた。(松下雄一郎)


 激闘ダイジェスト
 3回表  矢野、藤本が連続で中前打。1死後、今岡、赤星の連続左前タイムリーで2点
 4回表  先頭の浜中が左中間にソロ。リードは3点に
 8回表  1死から赤星が死球。続く金本が右中間2ラン。点差を広げる
 8回裏  代打・城石が左前打。2死2塁となるも宮本に右前適時打。べッツの左中間2塁打のあと、ラミレスに左翼3ラン。1点差に詰め寄られたが、ここまで。しっかり逃げ切った

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