愛媛・鶴田 重圧に耐え続け…涙の完全優勝で引退へ

 【愛媛・鶴田都貴捕手】=文・高田博史

 前・後期優勝のアドバンテージ(1勝)を持つ愛媛が、3勝でチャンピオンシップを制した。初の四国リーグ連覇は、ソフトバンク杯を含む“4冠”を達成しての完全優勝である。

 大会MVPには2試合でマスクをかぶった主将、鶴田都貴が選ばれた。6打点をたたき出し、自身のバットで優勝を決めている。歓喜の胴上げが行われるなか、一人で号泣していた。

 「僕だけワンワン泣いてたんですけど、みんなに『まだ早い』って言われて。すごくキツかったシーズンを最高の形で終えられた。『勝った!』っていう達成感、満足度がハンパなくて」

 今年が一番キツかった。日本一となった昨年より「落ちた」と言われたくない。チームをまとめる主将であり、ゲームを引っ張る捕手でもある。重圧が二重にのし掛かってくる。「このチームでどう勝つのか」を考え続ける日々に、気持ちは休まることがなかった。

 後半、ショートバウンドを後逸するミスを連発した。昨年まで共にマスクをかぶっていた河原宏誓(巨人球団スタッフ)に相談している。主将として同じ立場にいただけに、鶴田の気持ちは十分すぎるほど理解できる。「しゃあないよ。引きずるな」とアドバイスをくれた。

 「楽になりましたね。自分だけで考えて答えを導き出そうと思っても、揺らぐし浮き沈みがあるから。人に言われた方が『そうだよな』って思える」

 あの日の涙は悩み、もがき続けたあと重圧から解き放たれた、喜びの涙だった。

 「チームの歴史を作れた。4つ全部獲れたことは、すごく誇らしい。日本一も付いてくれば良かったのになあと思いますけど、すごく充実した1年でした」

 今季限りでの引退を決断している。日本一を懸けて戦い、敗れた群馬での試合後「終わったな……」とひと泣きしたら、とても晴れやかな気持ちになった。もう、趣味として野球を楽しむことさえ考えていない。

 「簡単だと思ってた野球が、すごく難しくて。でも楽しくて、面白くて。いろんな面で最高の場所だったと思います」

 アイランドリーグに来て、良かった。そう思う。

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