香川・赤松“土壇場指名”打と肩に評価
【香川・赤松幸輔捕手】
香川・西田真二監督はドラフト直前まで「まあ、来年もう1年やの」と話していた。そう言われた本人、赤松幸輔もまさか自分が指名されるとは思っていない。
やれるだけのことはやった。だが、同時に足りない部分、上乗せしなくてはいけない部分がたくさん見えている。来年レベルアップするための準備をしようと考えていたところだった。
育成ドラフト会議真っ最中のオリックスのテーブルは、揺れに揺れていた。実は当初、指名の最終リストに赤松の名前はない。
会議の駆け引きが続くなか、次の指名選手を検討していたところで、ふいに赤松の名前が挙がる。
「四国の赤松はどうなんだ」「ああ、いいですね。面白いですよ」
赤松を推したスカウトが2人いた。その場で指名が決まる。高松市内に設けられた会場で、自分の名前が呼ばれるのを聞いた。
「『あるかも』とすら思ってなかった。『ない』と思って見ていたので。かかって『えっ!』って思いました。一瞬疑いましたもん、自分の目を」。
結果的に、好調だったフェニックス・リーグでの活躍ぶりが指名につながっている。評価されたのは打撃とスローイングだった。
こんな裏話がある。オリックスから指名に必要な調査書の提出を求められたのは、ドラフト直前である。「宮崎から郵送しよう」という話になったが、送っているはずの書類が届いていない不測の事態が起こる。当日、慌てて会場である新高輪プリンスホテルにFAXを送り、難を逃れた。
「『そういうのは印象に残るから、あるかもね』なんて冗談で言ってたんですよ。最後に滑り込みで来たら、印象に残るじゃないですか。運もあるし」(球団スタッフ)
あらためて、そんな後日談を聞きながら、縁があったことを再認識している。
「獲ってくれたってことは期待してくれているってことなので。『獲って良かったな』って思ってもらえる選手になりたいと思います」
ドラフト指名だけではない。アイランドリーガーになったことも、縁があったからこそである。