香川・寺田 エースの心意気で大車輪
【香川・寺田哲也投手】
6月23日の対高知前期12回戦(高知)、五回裏のマウンドに登る姿に「ここで寺田?」と思ったファンは少なくないはずだ。香川・西田監督は4日前に先発した寺田哲也を中3日でリリーフに送った。
首位にいるとは言え、1つの負けが前期優勝争いを大きく左右する。打線の援護がなく敗れたが、期待に応えて4イニングを無失点でしのいだ。
BCリーグで投手タイトルを総ナメにした新潟のエースが香川の一員となる。それは今季序盤の大きな話題としてリーグ中を駆け巡った。だが開幕戦での登板以降、思うように勝ち星が付かなかった。
「やっぱりちょっと辛いっていうのはありましたね。もう仕方ないから、自分がいま出せる力を出すだけ。それで自分に勝ちが付かなくても、チームが勝ってくれたらいいやって感じでした」
ようやく初勝利を手にしたのは5月2日、5度目の先発マウンドとなった対高知前期4回戦(レクザム)だった。「少しホッとした」は素直な気持ちだろう。5月2日は10年、BCリーグで初めて白星を挙げた日と同じ日付である。
香川入団前、親交のある高津臣吾(現ヤクルト投手コーチ)に「先発でずっとやってきてNPBに届いていない。中継ぎもできるところをアピールした方が良いのか?」と相談している。
「『いや、やっぱり先発の方がいいんじゃないか』って言ってくれて。このまま勝負した方がいいかなっていうのは、そこで生まれましたね」
投手陣が万全でない現在、先発、中継ぎと出番はますます多くなるだろう。だが、涼しい顔でこう話す。
「チームにプレッシャーがかかるようなときに力が発揮できるようにならないと、野球やってて面白くないので」
苦しいときにこそ頼りになる。まさしくエースの心意気である。