注目が集まる「左腕三銃士」の行き先

 韓国で今オフにFA資格を取得する選手は、総勢24名。シーズンが開幕してまだ10日ちょっとのこの時期にFA選手の話はいささか早計とは思うが、それでも話題にしたのは、顔ぶれの豊かさに理由がある。

 多くのチームのエース格、野手では主軸が顔を揃えた。無論“FA残留”を求め、球団サイドも必死に引き留めにかかるだろうが、彼らの行く末によっては来季の優勝も順位も大きく変動する。

 そんな中、関心を集めている2投手がいる。 

 ひとりは金廣鉉(SK=キム・グァンヒョン)。いわずと知れた韓国球界を代表するサウスポーだが、14年オフにポスティングでのメジャー進出を試みた。しかし交渉権を持ったサンディエゴから提示された金額は125万ドル。条件も先発は保証されず、とても交渉の余地はないと打ち切り“完全FA”での挑戦にシフトを変えた。

 「球威、球速ともメジャーでは標準クラスで特筆すべきものではない。制球力に乏しいのもマイナス」(某アリーグ・アジア担当スカウト)というのがメジャーでの一般的な見方のようだ。現実的にも肩の故障に悩んだ11年頃を境に、球威よりキレ、奪三振より打ち取る投球にスタイルも変化させている。当時のリハビリを思えば、よく復活したとすら思える。今季はチェンジアップも多く使うようになり、配球パターンも広がった。それでも冷徹なメジャーの評価とすれば、なかなか魅力を見つけるのは難しいかも知れない。だから、というわけではないだろうが、今月、金廣鉉の代理人が来日し、日本の球界関係者と接触したという情報が流れている。それが即“日本行き”に舵を取ったということには繋がらないし、最終的には本人の志ひとつだ。とはいえ各国球界の関係者の視線は、彼の左腕に注がれる、そんなシーズンになっていくことは間違いない(来年3月のWBCの参加も、来季の所属先いかんでは不参加も当然考えられる)。

 もうひとりの左腕、梁弦種(KIA=ヤン・ヒョンジョン)も同じく14年オフにポスティングを行使。こちらは応札額が175万ドルと低調で、所属するKIAが受け入れず、交渉にすら辿り着かなかった。彼の場合はKIAが全面的に残留を望んでいる。「オフの補強費すべてを投入してでも梁弦種を引き留める」と球団幹部も公言している。ただ日本の球界関係者の中には「日本に来る実現性というなら、メジャー志向の強い金廣鉉より高いかも知れない」という見方もある。

 とはいえ日本球界にとってもうひとつの障壁は、条件、つまり金だ。金廣鉉の今季年俸は8億5千万ウォン(約8500万円)。梁弦種も7億5千万ウォン(約7500万円)と高額だ。彼らの腰を上げさせるためには、「少なくとも出来高入れても1億5千万円から2億円は出さなければ交渉にもならないだろう」(パ・リーグ球団関係者)という声も聞かれる。ポスティングによる出費が不要とはいえ、それだけの金額を出せる球団となれば限られてくる。

 この他にもサムスンの車雨燦(チャ・ウチャン)投手なども挙がっており、韓国メディアでは『左腕三銃士』とのニックネームも付けられている。彼らがどんな道を開くか。そのためにも、今シーズンは例年以上にFA選手のフレー内容に関心が持たれることだろう。

 ただ…。個人的には有能な選手がこぞって海外に出て行く傾向には、寂しさしかないけれど。

 

関連ニュース

編集者のオススメ記事

亜細亜新野球事情WEB版最新ニュース

もっとみる

    スコア速報

    主要ニュース

    ランキング(野球)

    話題の写真ランキング

    写真

    デイリーおすすめアイテム

    リアルタイムランキング

    注目トピックス