広島、FA選手獲得ゼロでも人気の秘密
2013年10月15日
ただ、育てた選手も次々と流出していった。FAでは川口、江藤、金本、新井貴、黒田が他球団に移籍。いずれも投打の主力、チームの柱というべき選手だ。契約交渉がこじれて移籍した外国人選手もいる。1998年から15年、Bクラスが続いたのは、必然とまでは言わないまでも、いかんともしがたい面もあったのだろうと思う。
カープは奪われ続けてきた。育ててもまた奪われた。「カープに勢いがあるのは鯉のぼりの季節まで」と揶揄された。戦力がないから5月には失速するという意味だ。そして巨大戦力を持つ球団に踏みつけられ、下位に沈んだ。
しかし今年は違った。シーズン終盤、驚異的な勢いで白星を重ね、3位に入った。借金3だったことはこの際、置いておこう。スタメンは外国人選手以外、ほぼ生え抜き。年俸1億円以上の選手はいない。“持たざる者”が、自前で選手を育て、はい上がった。
補強を繰り返し、毎年優勝争いをする。プロ球団としてあるべき姿なのかもしれない。しかしその結果、毎年毎年、チームの顔ぶれは変わる。それがチームへの愛着を失わせる面もあると思う。
カープには、そんな球団とは全く異なる魅力がある。若い選手が頭角を現し、我慢して試合に使ってもらい、育っていく。そういった選手たちが、巨大戦力に挑んでいく。そこが人を引きつける。
16日に開幕するセ・リーグCSファイナルSで、カープは巨人と激突する。“持てる者”に対し、“持たざる者”がどんな戦いを見せてくれるのか。楽しみで仕方がない。
(デイリースポーツ・足立行康)
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