ヤクルト・歳内独占インタビュー「僕には頑張る責任がある」独立L経てNPB復帰星
ヤクルトの歳内宏明投手(27)がデイリースポーツの独占インタビューに応じた。昨季限りで阪神を戦力外となったが、今季から加入した独立リーグの四国ILp・香川では、3完封を含む5勝0敗と圧倒的な成積を残し、9月6日にヤクルトと契約してNPBに復帰。今月1日のDeNA戦(横浜)で見事にカムバック勝利を挙げた。どん底からはい上がってきた右腕が、古巣・阪神への感謝などを語った。
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-NPBでの復活勝利、おめでとうございます。家族に届けたかった再出発の1勝だった。
「家族から連絡はもらいました。『よかったね』と。感動的なものはないですけど(笑)。まだ始まりだっていうことは分かってくれていると思います」
-昨季限りで阪神から戦力外通告。復活劇を支えたのは古巣の仲間だった。
「戦力外になったときに、阪神の裏方さんや選手、周りのいろいろな人たちから『まだ絶対にできる』って言ってもらえたんです。トライアウトを受けるかどうかさえも悩んでいたんですけど、みんなにそう言ってもらえたのが一番大きかったかなと思いますね」
-感謝しているという阪神時代について。
「(17年に)ケガをして1年ちょっとですかね…キャッチボールもできない状態だった。(18年は)育成契約という形ではありましたけど、契約してくれたこと、待ってくれるということがありがたかった。(17年の)春先に肩を痛めて、12月の契約する時点でも投げられない状態で…。その年でクビになってもおかしくなかったですよ」
(少しの沈黙後)
「あのときクビになっていたら、トライアウトも受けられていないでしょうし、香川でやるっていうこともなかったでしょうし。あのとき待ってくれたから、今の自分があると思っています」
-阪神退団後は他の独立リーグなどからも誘いの声が…。その中で四国ILp・香川への入団を決めた。
「レベルが一番高いのかなと思ったからです。僕が2軍のときに練習試合をやったこともあって。毎年四国からドラフトにもかかっているので、スカウトの方に見に来てもらう機会も多いのかなと感じたからですかね」
-新しいスタイルの歳内誕生へ。先発転向でつかんだチャンス。
「阪神のときは主に中継ぎ。細かい制球よりも、勢いで抑える感じで投げていました。今みたいにカーブやスライダーを使わずに、ほとんど真っすぐとフォークで組み立てる形。配球というよりかは、とにかくいいボールを投げようと思ってやっていました」
(続けて)
「でもその投げ方だと、疲れて勢いがなくなると打たれてしまう。体が元気なときだけ抑えられるっていう感じでした。その矢先でケガをして、腕が振れなくなってからはもう全然ダメでしたね」
-四国ILp・香川での先発経験。貪欲に求めたのは変化だ。
「週に一度長い回を投げる上で、必要なことが見えてきたんです。課題が制球面。そこが一番変わったかなと思いますね。僕の場合は、これまでずっとうまくいっていなかったので。むしろ自分が変わらなければ、プロでは全然通用しないっていうことが分かっていたからこそ、投球スタイルの変化に勇気はいらなかったです」
-ヤクルトでの1勝目を振り返って。
「勝っても僕、あんまり笑わないです(笑)。でも青木さんに『粘り強く投げたな』って背中を押していただいて。そこからみんなの輪に入って、ようやくヤクルトの一員になれた感じがしました」
-ヤクルトで果たしたい役割と責任は。
「とにかく一番は結果を残したい。NPBに戻るというのは、いろいろな方が尽力してくださってかなった夢。歳内をとってよかったって思ってもらいたいし、ここで僕が活躍しないと独立リーグの価値も下がってしまう」
-香川の仲間たちのためにも。
「僕が頑張れば、独立リーグからドラフトにかかる選手も増えると思いますし、スポンサーが増えたりっていうこともあるかもしれない。ここまで一人で来られたわけではないですから。だからこそ僕には、頑張る責任があると思っています」