【トラ番敵情視察】“丸の穴”感じない王者・広島 スカウトも舌巻く誠也の急成長

 デイリースポーツトラ番が他球団のキャンプに潜入する『敵情視察』の第3弾はリーグ3連覇中の王者・広島に迫る。昨年の対戦成績は10勝15敗。直接対決でも分が悪く、対戦防御率4・88と打ち込まれた。丸が抜け、長野が加入した新打線にスキはあるのか。攻略のカギは…。今回は元コイ番の田中政行記者(35)が、キャンプ地・沖縄で突撃取材を敢行した。

  ◇  ◇ 

 目にした衝撃が脳裏に焼き付いて離れない。広島キャンプに潜入し、午後から始まった初の対外試合。リーグ3連覇中の王者は、ほぼベストメンバーを組んだ。初回、菊池涼、長野の連打から鈴木の3ランで先制。後続もつなぎ、電光石火の4得点だ。

 試合はスタンドで、松本有史、尾形佳紀両スカウトと並んで観戦した。2人の目は南国の地でも鋭かった。

 「この時期の仕事はまず、新人選手の状態確認とケア。あとは戦力の把握です。若い選手が順調な成長曲線を描けているか。どこが補強ポイントなのか」

 丸が抜け、菊池涼はメジャー挑戦の願望を公言。会沢は今季中、田中広は来季中にも国内FA権を取得する。制度の導入以降、辛酸をなめ続けた歴史が地方球団を強くした。今は「危機感しかない」のだという。故に中村奨、小園と2年連続の野手1位指名。そんな球団の方針は、選手に相乗効果を生んだ。

 眼力鋭い尾形スカウトが、「ここまでとは」と驚くのが鈴木の急成長だ。途中交代後、室内で打ち込むこと1時間半。絶対的な存在である菊池涼でさえ目の色が違う。「目は黒いままだわ!!」と冗談を言いつつも、「(まだ練習試合で)この1本だけじゃ」と表情を緩めない。チーム内の激しい競争。東出打撃コーチが言う。

 「西川がいて、堂林もいる。曽根はどこでも守ることができる。打つ、守る、走る…一つじゃない。プラスアルファできる選手が、ウチには控えている」

 この日、安部がインフルエンザを発症。代役の堂林が2ランを放った。中堅最有力候補の野間が苦笑いする。「丸さんには、頑張れよと言われたんですけど。見てください、このメンツ。危機感しかないですよ」。丸が抜けた穴を、肌で感じることはできなかった。2年連続MVPを獲得した選手でも、だ。

 対抗のカギは新戦力の2人。通算の対戦成績で西が2勝0敗の防御率1・93、ガルシアは3勝1敗、同2・88と苦にしない。強力打線を封じ込む先発投手が、今季の順位を大きく左右していきそうだ。

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