日本でも起きる?「フライボール革命」 常識覆す「ボールの下たたく打法」

 京セラドームネット裏中段に設置されているトラックマン(手前)
2枚

 昨季、米大リーグで話題となった『フライボール革命』。弾道計測器トラックマンや解析システム・スタットキャストなどの導入により、データ全盛時代を迎えた野球界。打者の対抗策は“ボールの下をたたく”というそれまでの常識を覆す方法だった。各球団が採り入れた結果、シーズン総本塁打数は史上最多6105本を記録し、2000年の5693本を大幅に上回った。この流れは日本にも来るのか?探ってみた。

 メジャーリーグはデータ全盛時代に突入した。トラックマンやスタットキャストの導入により、膨大なデータから選手個々の特徴が調べ尽くされるようになった。その典型が守備におけるシフトだ。引っ張り専門の打者に対して、野手が極端に守備位置を変えたり、三塁手が一塁と二塁の間を守るなどというものまで生まれた。

 これにより打者は会心の一撃もアウトになるケースが増えた。内野の間を抜けないなら外野まで飛ばしてしまえ。これが“フライボール革命”の起点と言われる。野球界の常識を覆し、ボールの下半分を強くたたくことで、外野まで飛ばす打法を採り入れるようになった。その結果、本塁打増という副産物が生まれた。昨季、世界一となったアストロズがその典型だとされる。

 日本ではどうか。オリックスは16年に京セラドーム、昨年は舞洲にトラックマンを設置。阪神やヤクルトなども今季からの導入を決めた。オリックスが今季から解析チームを結成したように、各球団はこれまでのスコアラーによる分析に加えて、トラックマンチームによる本格的な解析に取り組み始めた。

 選手にもわずかだが、変化が見られるようになった。ソフトバンクの柳田は昨季「ボールの下を打つことを意識している」と発言。実際に打率・310、31本塁打、99打点の好成績を残した。

 日本にもその流れが来たかのように見える。昨季までソフトバンクの打撃コーチを務めたオリックス・藤井打撃コーチは否定的だ。

 「これまでと逆のことを教えることになる。僕らの立場では難しい。例えば非力な1、2番の打者がポンとフライをあげていたらどう思うか。導入するにしてもある程度パワーのある打者に限られるのではないか。柳田の場合はラインドライブの打球が多かったからという理由がある。例外ではないか」

 元メジャーリーガーのオリックス・長谷川滋利SAも「向こうは球場によって気候の影響で飛ぶ球場がある。日本には向かない。ボールの下をたたいて飛ばすのは、あのイチローでも“難しい”と言っていたくらいだからね」と同調した。

 ただし、ビッグデータ時代の到来は、日本についても例外ではないと同SAは言う。

 「(極端な)シフトはうちも今年はやりますよ。相手打者によっては外野を2人で守るケースだってあるかも。外野を3人で守らなければいけないわけじゃない。どんなものでもありえる」

 これまでに見たことのない守備隊形で安打をアウトにされたら打者はどう考えるか。データVS人間。その先に日本版の“革命”が起こるかもしれない。

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