「パＣＳファイナルＳ・第１戦、ソフトバンク２－３楽天」（１８日、ヤフオクドーム）

　下克上へのノロシだ。プレーボールから３球目。楽天・茂木栄五郎内野手はフルスイングで東浜の１４３キロ高め直球を叩きつけた。打球は左中間席最前列で弾み、今ＣＳ２本目の先頭打者アーチ。トップバッターの先制パンチが流れを引き寄せた。

　「東浜さんはすごくいい投手。何とか先制点が欲しかった。振れる球は強く振ろうと思った」。今季最多勝右腕の出ばなをくじく一撃に会心の笑み。西武とのファーストＳ第２戦では、十亀から初回初球先頭打者弾を放ち、崖っぷちのチームに勝利を呼び寄せた。

　ファーストＳ、ファイナルＳの両方で先頭打者アーチを放つのは史上初。梨田監督は「あれが彼の魅力。相手に強烈なインパクトを与える強みがある。チームに勢いが生まれるね」とうなずいた。

　茂木は「失うものは何もない。相手にだってプレッシャーはあるはず」と自らに言い聞かせた。「短期決戦は結果がすべて」。初めてのＣＳの舞台に、レギュラーシーズンとは違うアドレナリンを感じている。

　これで１勝１敗。しかし、梨田監督は「まだタイだと思っていない。（アドバンテージが）あと一つくらいあると思っていないと」と表情は崩さなかった。大きな１勝を手にしたからこそ、指揮官は強く気を引き締めた。