ありがとう三本松 公立の星に3500人大応援団感動
「全国高校野球選手権・準々決勝、東海大菅生9-1三本松」(20日、甲子園球場)
三本松(香川)は東海大菅生(西東京)に1-9で敗れ、4強入りを逃した。エース右腕・佐藤圭悟投手(3年)が序盤に5点を失い劣勢が続いたが、八回に1番・大久保祥吾外野手(2年)のタイムリーで1点を奪うなど最後まであきらめない粘りを見せた。公立校として唯一8強入りを果たし、奮闘を見せたナインに、3500人の大応援団は惜しみない拍手を送った。
敗れた三本松ナインに大観衆から温かい拍手が降り注ぐ。1-9の完敗だったが、“公立の星”は西東京の強豪を相手に勇敢に戦った。「選手たちは日に日に成長した。ここまで連れてきてくれた選手たちに感謝したい」。日下広太監督(33)は、悔しがるナインに優しい視線を送った。
エース・佐藤が序盤に5点を失い降板。厳しい展開が続いたが、あきらめる選手は誰一人いなかった。
「終盤に必ずチャンスが来る。しっかり振っていこう」。指揮官のゲキに八回、打線が奮起する。先頭の9番・黒田一成内野手(3年)が左翼線二塁打を放つと、続く1番・大久保が「チャンスを作ってくれたから、絶対に返してやろうと思った」と左前へ適時打。執念で1点を奪った。
24年ぶりの夏の甲子園で全力を尽くした3試合。切れ目のない打線と巧みな小技、そして堅い守りで8強入りの快進撃を披露し、人口約3万人の地元・東かがわ市を熱狂させた。この日は午前4時に地元から計31台のバスが出発。全国から卒業生らも続々と集まり、約3500人の大応援団が一塁側アルプス席を埋めた。
ベンチ入りメンバーのほとんどが東かがわ市出身で、その多くが少年野球時代からの顔見知りだ。佐藤は「ずっと一緒に野球をやっている子たちと甲子園でプレーしているのが不思議な感じでした」と笑う。
佐藤と東かがわリトルシニアでチームメートだった主将の渡辺裕貴捕手(3年)は「東かがわ市の記憶と記録に残った。悔しいけど、後悔はない」と言い切った。「ベスト8以上の壁は計り知れないほど厚いということを痛感した。この経験を今後に生かしたい」と日下監督。聖地でつかんだ「2勝」を大きな財産に、後輩たちが再び聖地を目指してスタートを切る。