盛岡大付・植田 KKコンビに並ぶ3季連続本塁打 1試合5発の空中戦にケリつけた
「全国高校野球選手権・3回戦、盛岡大付12-7済美」(19日、甲子園球場)
165センチの小さな大砲が偉大な記録を打ち立てた。盛岡大付(岩手)の植田拓外野手(3年)がPL学園・KKコンビも達成した史上6人目となる3季連続本塁打。「うれしい。やっと(本塁打を)打ててホッとしました」と笑顔がはじけた。
1点を追う九回の先頭。「後ろにつなぐ意識で」と振り抜いた打球は左中間最前列に飛び込む同点の本塁打。右拳をつきあげホームインも「自分でもびっくり」と驚きを隠せなかった。
空中戦だった。五回は2死満塁で6番・小林由伸内野手(3年)が左中間へ自身初の満塁本塁打。だが直後に満塁弾返しを食らい、七回にも勝ち越し被弾。「打ち込んできた。絶対負けない」という自信と強い気持ちが植田を奮い立たせた。
スタンドで見守った母の香織さん(38)は「自分で行きたいと言って15歳で親元(大阪)を離れて入部した。一度だけ小学校の時に野球を辞めたいと言ったことがあったけど『やっぱり見返す』と」。負けん気の強さが大舞台でも発揮された。
1点リードの延長十回は3ボールから今度はセンターバックスクリーンへ3ラン。岩手大会決勝以来の2打席連発で高校通算記録を62本とした。
関口清治監督(40)は「チームを勇気づけてくれた。ホームランはチームにとってはシンボルマーク」と真骨頂の戦いぶりに目を細めた。4安打5打点で打線をけん引した植田は「甲子園でバックスクリーンに打てて気持ち良い。(人生で)一番きれいなホームラン」。怪物がチームをさらに高みへと導く。