呉・高松、将来の夢・自衛官の前にかなえたい夏の甲子園出場

 「選抜高校野球・2回戦、履正社1-0呉」(25日、甲子園球場)

 一度もマウンドに立つことはなかった。「投げたかったですけど、(先発の)池田が良かったんで」。背番号10の呉(広島)・高松晃佑投手(3年)はそう言って、唇をかみ締めた。

 仲間に声をかけるなどチームのために尽くした右腕には、夢がある。「父と同じように日本を守る仕事がしたい」。憧れの父、海上自衛官の博士さん(50)の背中を追うつもりでいる。

 小さい頃は一緒によく呉港へ船を見に行った。「優しくて、物知り。聞けばなんでも教えてくれる。すごくかっこいいです」。父は昨年3月まで潜水艦を捜索する護衛艦に乗船。遠洋航海実習では140日くらい家を離れることもあるという。

 小学3年の時に夢を書く授業があった。父に自衛官になりたいと伝えると、「厳しいから、そんなに簡単な仕事ではない」と反対された。でも思いが変わることはなかった。大きくなるにつれ、一層強くなった。「自分の人生だから、やりたいことをしなさい」。高校入学後、やっと認めてもらえた。

 野球を通じて学んだことはたくさんある。あいさつやコミュニケーション能力、忍耐を教わった。「つらいことがあっても、乗り越えられると思います」。夏の大会が野球人生最後となる。「夏また優勝して戻ってきたいです」。まずは、もう1つの夢に向かって仲間と共に進んでいく。

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