呉・中村監督、万感の3度舞い 市民の夢かなえて「特別な思い」

 第89回選抜高校野球大会(3月19日開幕、甲子園)の出場32校を決める選考委員会が27日、大阪市内で行われ呉(広島)が選ばれた。尾道商での監督時代に3度の甲子園出場経験のある中村信彦監督(62)が作り上げたチームが、2007年の創部から10年で悲願を成し遂げた。

 悲願達成の報を聞くと、目頭を熱くさせた。創部10年でつかんだ甲子園切符。学校中庭で行われた報告会の後、中村監督は選手たちの手で3度宙に舞った。

 「最後の奉仕だと思って、何とか夢をかなえたいと思ってここに来ました。呉市民の夢をかなえてほしいと言われていた。今までとは違った特別な思いがあります」

 監督として尾道商を3度、甲子園に導いたこともある名将が、一から作り上げてきたチーム。07年に呉に赴任すると、同年に野球部が立ち上げられた。

 創部当初は部員17人。専用グラウンドはなく、市営球場を借りて練習に励んだ。土、日は同球場が一般開放のため、練習できない日もあったという。現在も専用球場はないが、市の協力もあり、月に1度の一般開放日以外は午後9時頃までグラウンドで汗を流している。

 昨秋の広島大会3位決定戦で呉港に勝利し、進出した中国大会で準優勝。春夏通じて初の甲子園切符をつかみ取った。スター選手がいるわけではない。昨秋公式戦11試合でチーム本塁打はゼロ。圧倒的な破壊力はないが、投手中心の守り勝つ野球で白星を積み重ねてきた。

 中村監督にとっては母校の尾道商を率いた1986年春以来の甲子園。「しっかりとゲームをして、皆さんに感動してもらえるようにやっていきたい」。次は広島県民、呉市民に全国1勝の吉報を届ける。

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