「日本シリーズ・第４戦、日本ハム３－１広島」（２６日、札幌ドーム）

　頼れる４番が大仕事だ。日本ハム・中田が狙った獲物を１球で捕らえた。１点を追う六回。岡田の初球、スライダーをズドン。弾丸ライナーで左翼席に突き刺した。大歓声の中、ゆっくりとダイヤモンドを回る。ベンチに戻ると大興奮の栗山監督と力いっぱいハイタッチした。

　今シリーズ１号アーチは逆転の流れを呼び込む同点弾。本塁打は巨人と戦った２０１２年の日本シリーズ第６戦以来、２本目だ。

　「変化球が甘くきたら、積極的にいこうと思ったよ。打った瞬間にいったと思ったね。同点に追いつこう、振り出しに戻そうと思っていたのでよかったよ」

　前打席の三回に岡田にスライダーを見極めて四球を選んだ。この打席も初球からスライダーが来ると読み切ってフルスイング。「狙い通り」としてやったりだ。

　中田にとって特別な日本シリーズだ。故郷の球団を相手に自然と気合が入る。幼少期には実家に近い、旧広島市民球場でのカープ戦観戦に夢中になった。「真っ赤の中で野球ができるのはうれしい」と今シリーズを楽しみにしていた。第１戦前には実家に帰省。母・香織さんお手製のもつ鍋を食べて英気を養った。パワーを蓄え、今シリーズは打率・３０８、１本塁打と打線を引っ張る活躍だ。

　五回まで無得点。沈滞ムードを消し去る一発に栗山監督は「これが４番・中田翔。嫌な空気を消し去ってくれるのが主役なんだ」と手放しで褒めちぎった。中田は「明日も気持ち良く試合に入りたいね」と力こぶ。第５戦、本拠地・札幌でシリーズ制覇に王手をかけ、敵地に乗り込む。