部員10人の洛星が8強へ 21世紀枠の選出基準に到達

1失点完投し8強進出の原動力となった洛星・水江=太陽が丘
3枚

 「秋季高校野球京都大会・二次戦2回戦、洛星3-1大谷」(24日、太陽が丘球場)

 部員10人の洛星が大谷の追撃を振り切り、ベスト8へ進出した。来春センバツの重要な参考資料となる今大会で、8強入りしたことにより21世紀枠候補の選出基準に到達。準々決勝では全国屈指の強豪・龍谷大平安と激突するが、エースの水江日々生投手(1年)は「受けずにどんどん攻めていこうと思います」と力を込めた。

 ゲームセットの瞬間、ナインの表情から笑みがこぼれた。3点リードで迎えた九回、2死から安打と失策で一、二塁のピンチを招くと、右前適時打を許して2点差に迫られた。

 それでも水江は「エラーはしょうがない。みんなが守ってくれる」と最後の力を振り絞り、空振り三振で試合を締めた。部員はわずか10人。ボールボーイどころか、ベンチには記録員もいない。責任教師も兼務する中村好邦監督(39)は「メンバー表に特徴などを書き込んだりはしますが…基本的には選手各自が頭に入れてやっている」と言う。

 「本当にケガすら許されない状況の中で、生徒たちはよく頑張っていると思います」と目を細めた指揮官。同校は京都でも有数の進学校。OBには政界など幅広い分野で多数の著名人を輩出している。完全な中高一貫教育校で高校からの中途入学は募集していない。チームは中学の軟式野球部から持ち上がったメンバーだけに「自分たちのいいところも、悪いところも分かってやっている。だから10人でも勢いが出せる」と水江は明かす。

 中学の軟式野球部には同級生が20人いた。当初は高校でも野球部に入ろうと語り合ったが、学業を優先するため高校では野球をあきらめる選手が多数いた。高校でも続ける決断をしたのは4分の1となる5人。今夏で3年生が引退すると、2年生5人とあわせて10人という厳しい状況に陥った。

 それでも練習から工夫を重ねてきた。平日2時間の練習では、中村監督が「いかに試合で27個のアウトを取っていくかを考える。野球の考え方をまず浸透させた」。守備位置やベースコーチが入れ替わるタイミングなども、自分たちで考えながら試合に臨むようになった。

 一次戦では今夏京都大会8強の京都廣学館を撃破。決勝で京都成章に敗れたものの、敗者復活ゾーンから二次戦へ勝ち上がってきた。そして古豪の大谷を破っての8強進出。中村監督は「大それたことが言える状況ではないですので、一戦、一戦、チームに合った目標を達成していきたい」と語り、エース・水江は「今は野球だけを考えて。いつも通りやってきたことをやるだけです」と準々決勝を見据えた。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

野球最新ニュース

もっとみる

    スコア速報

    主要ニュース

    ランキング(野球)

    話題の写真ランキング

    写真

    デイリーおすすめアイテム

    リアルタイムランキング

    注目トピックス