明るく振る舞った大谷…記者茶化して
「ロッテ4-9日本ハム」(1日、QVCマリンフィールド)
初めて心の底から喜べた瞬間だ。九回2死。鈴木を158キロ直球で見逃し三振に仕留めると、日本ハム・大谷翔平投手はクルッと回転しガッツポーズ。野球少年のような笑みを浮かべていた。開幕6試合目。プロ入り後、最遅で手にしたシーズン初白星。「長く感じました。うれしい。1勝するのは難しいなと感じました」としみじみと振り返った。
先発の軸として指名されながら、4月を終えて勝ち星なし。精神的にも辛かったはずだ。ともに1勝が遅かったバース、メンドーサとは、札幌のロッカーが隣という縁もあり、誰が先に初勝利をつかむかという話にもなった。4月15日はメンドーサが、21日にはバースが初勝利を挙げ、未勝利は大谷ただ一人となった。
それでも落ち込んだ様子は決して見せなかった。この3連戦の初日。大谷が食事面のアドバイスを受けている食品メーカー担当者を私が取材していると、大谷が寄ってきて「教えちゃダメですよ」とちゃかしてきた。自分のダイエットの相談だと言うと「お酒を飲まなきゃいいだけです」とちゃめっ気たっぷりに言ってきた。
内心では苦しかったはずだ。札幌での4月17日・ロッテ戦では、8回2失点と好投しながらチームは逆転負け。栗山監督は監督室に呼び「ここを乗り越えるのが大谷翔平だろ」と激励した。エースとして自分が落ち込む姿を見せてはならないと、周囲には努めて明るく振る舞ってきた。
「長い間、待たせましたけど、ここから連勝したい」と大谷。この1勝で吹っ切れたエースが、勝ち星を重ねることを祈りたい。(デイリースポーツ・水足丈夫)