松井氏が巨人軍に残した重みのある言葉

 巨人の宮崎キャンプが14日に打ち上げとなり、OBとして臨時コーチを務めていた松井秀喜氏(41)も任務を終了した。

 松井氏が巨人の臨時コーチを務めたのは14年以来2年ぶり。前回は周囲の要望もあって、フリー打撃の実演やノックを行い、毎日のように打撃投手も務めた。だが、今回は松井氏が主役となるような“パフォーマンス”は避け、一歩引き、選手を言葉でサポートすることに徹していた。

 2日目には首脳陣の要望でフリー打撃前に野手陣を集め、助言を送った。「私の経験した中で大事に思うこと、私が見てきた素晴らしいバッターの共通していた点をお話しした」。ヤンキースで同僚だったデレク・ジーターやアレックス・ロドリゲスらの名前を挙げ、技術論を展開。長くスランプに苦しむ村田は意識に変化が芽生え、構えた際の重心の置き方を変更した。

 13日には宿舎で講義を行い、1~3軍の首脳陣や選手に“ゴジラ道”を注入した。「みんなスタート地点は一緒。僕はパワーがあり、体も強かったかもしれないが、全てが優れた選手ではなかった。日々の小さなことをどう積み上げていくか」。素振りで鍛えた自身の経験談を交え、控えメンバーや育成選手の心も奮い立たせた。

 迷いや悩みを抱える選手の背中を押すような言葉も送った。「変わるというのは大事なこと。怖いことだけど、変わる勇気を持たないといけない。取り入れるのも、取り入れないのも自由。ただ、正しいと思えることがあるのなら、それに違和感があったとしても、違和感を消す作業も大事なこと」。各選手の顔を見渡し、丁寧な語り口で訴えた。

 質疑応答では、現役時代から松井氏を知る川相3軍監督から「謙虚な姿が変わらない理由」を問われた。「意識したことはありませんが…。育った環境かもしれないし、長嶋監督を見ていたからかもしれない」と前置きした上で「心の判断に気をつけていた。何か判断しないといけない時に、楽な方にいかないよう気をつけた。欲に負けないよう気にしていたつもり」と返答。昨年は賭博問題で揺れた巨人軍にとって最も重く、大事な心のあり方が伝えられた。

 松井氏はキャンプ期間中、選手に送った言葉や助言を自ら明かすことを絶対にしなかった。宮崎キャンプの最終日には「自分が思う基本的なことを伝えたつもり。それがみんなに当てはまるかは分からないし、やるかどうかは選手が決めること」と語った。2週間の間に送られたさまざまな言葉。ひとりひとりの貴重な財産となり、継承されていくに違いない。(デイリースポーツ・佐藤啓)

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