部員17人の小豆島に春 島民が泣いた

 第88回選抜高校野球(3月20日開幕・甲子園)の出場校選考会が29日、大阪市内で行われ、出場32校が決定。21世紀枠で春夏通じて初めての出場を決めた小豆島(香川)では、決定の一報に島民が涙するなど歓喜の渦に包まれた。「島民の方が元気になるように」と誓った杉吉勇輝監督(33)。部員17人ながら「三十四の瞳」として離島のハンディを乗り越えて聖地に赴く。

 杖(つえ)をつく老婦人が歓喜の一報に大粒の涙を流した。体育館に集まった島民が抱き合い、選手の保護者はハンカチで目頭を押さえた。少子高齢化、過疎化が進んでいく町に届いた“春の知らせ”-。小豆島勢として春夏通して初の甲子園出場に、杉吉監督は「決まったぞ~!!」と絶叫した。

 小豆島町では決定から5分以内に町内放送される異例の事態に。約100人が駆けつけた体育館では、修学旅行中の2年生部員8人を除く1年生9人が岩沢校長からセンバツ出場が決定したことを伝えられた。「本当に島民の方がこれだけ喜んでいただいて、僕もグッと来ました」と感情を抑えきれなかった杉吉監督。神宮王者の高松商を昨秋の香川大会決勝で撃破したが、08年の就任当初、甲子園を目指すチームでは決してなかった。

 部員はわずか9人でマネジャーが1人。その秋の大会終了後、エースが家庭の事情により退部した。杉吉監督は練習試合の相手校に頭を下げ、部員をレンタルして試合に臨んだこともあった。数十年前には部員わずか4人でも存続し、現在へとたすきをつないできた小豆島野球部。杉吉監督は「本当に島民の方が支えてくれたおかげ」と言いきる。

 フェリー代は島の後援会が支えてくれた。選手の補食として島の企業がせんべいをプレゼントしてくれた。公式戦では応援に駆けつけるなど、さまざまな形で島民がサポート。涙を流した島民たちは「本当に甲子園が夢だった」と口をそろえる。

 島民に後押しされ、離島のハンディを乗り越えて赴く甲子園。杉吉監督は「選手とスタンドが一体となってエンジョイベースボールをやりましょう!」と訴えた。そして「車いすの人が飛び上がって喜ぶくらい、元気なプレーを見せたい」-。そんな希望の光を宿した「三十四の瞳」が、春の聖地にやってくる。

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