オリックス谷、有終安打でプロに別れ
「オリックス5‐0ソフトバンク」(3日、京セラドーム大阪)
最後の打席は1点リードの七回1死一塁で訪れた。オリックスの谷は代打を告げられる前にグラウンドを出ただけで、3万3310人の大観衆から大きな拍手を受けた。こみ上げてくる涙をこらえ、「自然体で」と言い聞かせて打席に向かった。
バットマンになった。武田の初球、高めに浮いた142キロを迷いなく振り抜くと、打球は右前へ落ちる技ありの一打。通算1928安打目。同期入団の佐竹一塁コーチが大泣きする中、ヘルメットを取って総立ちのスタンドに笑顔で応えた。バックネット裏には亮子夫人(40)、長男・佳亮くん(9)、次男・晃明くん(5)がパパの勇姿を目に焼き付けた。
「自分のスイングができた。初球から打てなくなったら辞めようと思っていた。打てたことは自分でもうれしいですね」
谷の安打が勝利を決定付ける4点の起点になった。その後、福良監督代行の粋な計らいで打者1人だけ守備に就き、右翼スタンドへ別れを告げた。
引退スピーチでは「多くのファンの皆さんが応援してくださったおかげでここまでできたと思います。19年間、本当に本当にありがとうございました」と締めた。「早く帰って来いよ!」の声があちこちから上がる中、背番号10は笑顔でグラウンドを去った。