早実・清宮2戦連発 桑田以来の快挙

 「全国高校野球・準々決勝、早実8-1九州国際大付」(17日、甲子園)

 怪物ルーキーが、早くも聖地の歴史に名を刻んだ。早実・清宮幸太郎内野手(1年)が、準々決勝の九州国際大付戦で2試合連続本塁打となる右越えソロを放った。1年夏の甲子園2本塁打は、48年の学制改革以降では83年の桑田真澄(PL学園)以来2人目で、2戦連発は初めて。3本塁打で快勝した早実は、優勝した06年以来9年ぶりの4強入りを果たした。

 想像を超える一撃に、期待に満ちていた空気は驚きに変わった。弾丸ライナーが右翼ポール際に突き刺さると、一瞬遅れて歓声が沸き上がった。名だたる強打者たちも果たせなかった1年夏の2戦連発。高校野球100年の夏、清宮が偉業を成し遂げた。

 2点リードの四回無死。先頭で打席に入ると、初球の130キロ内角直球に鋭く反応した。「最初(東海大甲府戦)のホームランの時はあまり実感がなかった。今日のホームランは自分の形で打てたので実感がわきました」。三塁ベースを回りながら、手をたたいて会心の笑みをこぼした。

 アクシデントも関係なかった。初回の第1打席で厳しい内角攻めに遭い、窮屈なスイングで投ゴロに倒れた際に左手親指の付け根を痛めた。テーピングをするために四回の守備に就くのが遅れ、治療を告げるアナウンスが流れた。それから数分後の驚弾だった。

 「力が入らないというか。まあ、でもアドレナリンで。打席に入ったらそんなの忘れてました」。素振りで感じていた痛みも、鼻先で笑い飛ばすと「力が入っていなかったのが、逆に良かったのかも」と振り返った。

 七回には左中間フェンス直撃の二塁打も放った。

 ケガをマイナスにはしない。調布シニア時代の昨年2月、腰を骨折。完治までの約5カ月間は、裏方をこなしながら練習する仲間の横でトレーニングに励んだ。ケアや体幹強化に費やす時間も大幅増。「ケガをする前より、生まれ変わった自分でいたいと思った」。苦難の時期を実りの季節に変えられる強さは、甲子園でも生きた。

 1年夏の2戦連発は清原や松井も達成していないと知らされると「清原さんや松井さんはその後も活躍してらっしゃって、本当に自分はまだまだ」と恐縮した。だが、前人未到の領域に足跡を刻んだ事実は揺るがない。

 100年前の第1回大会で早実は4強入りした。清宮は「肩を並べられ、これ以上うれしいことはない。100年前の先輩方を超えられることができればいい」と、準決勝に目を向けた。次の100年まで残る歴史を、16歳の大砲はそのバットでつくっていく。

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