渡辺監督「感謝」横浜終戦も3度舞った

 「高校野球・神奈川大会決勝、東海大相模9-0横浜」(28日、横浜)

 横浜は東海大相模に敗れ、2年ぶりの優勝を逃した。今夏限りで勇退する渡辺元智監督(70)は、有終の甲子園出場にあと一歩届かず。半世紀近くに及んだ監督生活に別れを告げた。

 感傷に浸ることも、涙もなかった。敗戦の瞬間も、渡辺監督は優しいまなざしをナインとグラウンドに向けた。「選手に感謝。そのひと言です」。最後の夏。聖地に届かずとも、心残りはなかった。

 宿敵・東海大相模との決戦は0-9で敗れたが、挑戦者として敢然と立ち向かった。2年生左腕・石川はスローボールを駆使。打線はドラ1候補の小笠原に対して投球の瞬間に立つ位置を変えるなど工夫し7安打。指揮官は「スコアは別にして、少しは抵抗できたかな」とねぎらった。

 昨夏で盟友の小倉清一郎コーチ(71)が退任。昨秋は県大会3回戦で慶応にコールド負けした。思い出したのは、故・原貢元監督率いる東海大相模や怪物・江川の打倒に明け暮れた日々。「弱い横浜に戻っては困る」。腰の痛みをこらえ、ノックバットを振った。1年前から東海大相模を想定し、選手に高速マシンを打たせ続けた。若き日に戻って、難敵攻略に挑んだ集大成の年を「充実した1年だった」と振り返った。

 試合直後には、客席から“渡辺コール”も起こった。表彰式後、選手の手で3度、宙を舞った。優勝した東海大相模の胴上げはなし。誰もが別れを惜しんだ。号泣した2年生エースの藤平は「監督さんを甲子園に連れていきたかった。もっと努力して秋はいい報告をしたい」と誓った。

 今後は総監督として平田徹新監督(32)をサポート。後進の指導に当たる。「高校野球は自分の人生そのもの」。ユニホームを脱いでも、横浜高校、そして高校野球のために、名将は情熱を燃やし続ける。

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