横浜・渡辺監督“有終甲子園”へ王手

 「高校野球・神奈川大会準決勝、横浜4-3桐光学園」(27日、横浜)

 横浜が延長十回サヨナラ勝ちで桐光学園を破り、決勝進出を決めた。23日に祖父を亡くした石川達也投手(2年)が、決勝の適時二塁打。今夏限りで勇退する渡辺元智監督(70)の有終の美を飾るべく、終盤に粘りを発揮し、2年ぶりの夏の甲子園出場へあと1勝に迫った。昨夏代表の東海大相模は、日大藤沢に七回コールド勝ち。28日の決勝は、横浜-東海大相模の名門同士の激突となった。

 就任から47年積み上げてきた“横浜野球”は、最後の夏もしっかり生きていた。じりじりとした接戦を、サヨナラで制して決勝へ。穏やかな表情でインタビュールームの椅子に腰を下ろした渡辺監督は「感無量ですね。一戦ごとに選手がたくましくなっている」と、手応えを隠さなかった。

 2点を先行しながら、六回に逆転を許す展開。しかし、ここから底力を発揮した。七回に1番・増田の左越えソロで同点。勢いに乗りかけた桐光学園に食らいついた。

 名将の教えを、ナインがグラウンドで体現した。試合前にかけたのは「田んぼにいるヒルじゃないけど、食いついたら離れないぞ!」という言葉。円陣ではベンチ前に選手を座らせて、同じ目線で語りかけた。苦しい中盤から終盤にかけては「こういう試合のために練習をしてきているんだろう」と鼓舞した。

 試合を決めたのは、そんな指揮官を慕って横浜に来た5番・石川だ。同点の延長十回1死二塁から、右越えのサヨナラ適時二塁打。「監督からは『お前だぞ』と言われていた。打てて良かった」と、笑顔がはじけた。

 大会前まで元気だった祖父・才寿郎さん(享年77)が、23日に急性腎不全で他界。この日はズボンのポケットに写真を入れて試合に臨んでいただけに「最後にじいちゃんが力をくれたかな」と、天国の祖父に感謝した。

 5回戦から3戦連続で1点差勝利。ノーシードからの進撃に、渡辺監督は「秋と春、ダメだったチームが決勝に来られた。伝統が消えていないのを自分の中で再確認しています」と、うれしそうに話した。いよいよ有終の甲子園出場がかかる決勝。「私は気負わずに淡々とやるだけ。この子たちを甲子園に連れて行きたい」。自らが激戦区に育て上げた神奈川での集大成。自然体で栄冠をつかみ取る。

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