楽天・松井稼、塾生が明かす器の大きさ

 楽天・松井稼頭央外野手が、日本通算2000本安打に王手をかけた(7月27日現在)。西武、メジャー、楽天と、数々のチームを渡り歩いてきた大ベテランも今年で40歳。そのプレーに影響を受けて、プロになった野球選手も少なくない。巨人・吉川大幾内野手も、そのひとりだ。

 「小学校のころから、スーパースターで、憧れの存在でした」

 高校は松井と同じPL学園を卒業。その後中日に入団し、昨オフに戦力外通告を受けたが、すぐに巨人が声をかけた。今季はここまで、内野の守備固めや代走要員として、1軍で奮闘している。

 吉川のオフは“松井塾”の塾生だ。「自主トレをお願いしますと頭を下げたら、受け入れてくれました」。年明けは都内のグラウンド、松井との合同自主トレから始まる。

 「稼頭央さんってハデなイメージがあったんですけど、全然違いました。コロコロと転がすボールを取る練習など、地道な練習が多い。大事にするのは基礎の基礎の部分なんです」

 華麗なプレーを支える根幹にある、基本的な動作。松井の動きを見て、聞いて、吸収する。合同自主トレは、すでに3年連続で行っている。

 「練習をすることで、つながりを持てているのは財産ですね。僕の打撃の改善点とか熱心に考えてくれたり、人間的にも大きい人です」

 私事になるが、昨年まで楽天の担当記者を務め、松井が楽天に加入してから4年間、取材させてもらった。吉川の言う「人間的に大きい人」という表現は、まさに同感。北海道でのこと。和食店に行くと別席に食事中の松井がいた。こちらはこちらで食事を終え、お会計を頼もうとすると「何も言わずにお帰りください。大丈夫、大丈夫」と松井が支払いを済ませていた。

 「稼頭央さんはあんなに実績があるのに、僕らに文句とか不満を全く言わない。器のでかい人」とは、ある楽天選手の言葉。本拠地で、勝利につながる適時打を放った試合でも、若手選手にヒーローインタビューをそっと譲ったこともあった。

 そんな松井に、吉川も恩返しの一打を放った。今季初スタメンとなった5月31日の楽天戦。第1打席で右中間三塁打。「初ヒットが、稼頭央さんの前に落ちるヒットでうれしかった」。これが、巨人加入後の初安打だった。

 あと1本で大記録達成となる松井。もう時間の問題だろう。改めて、吉川に2000本という数字を聞いてみた。

 「想像つかないですよね。でも、少しでも近づけるように、頑張っていきます」

 偉大な先輩の背中を追いかけるように、22歳の挑戦は続く。(デイリースポーツ・橋本雄一)

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