高松 伝統の力で81年ぶりの夏切符を

 「高校野球・香川大会」(11日開幕)

 1915年8月に夏の甲子園の前身「全国中等学校優勝野球大会」がスタートして今年でちょうど100年。その第1回大会に出場した10校のうち、四国代表として参加したのが高松(香川)=当時は高松中=だ。県内随一の進学校でもある同校は2005年に21世紀枠で72年ぶりにセンバツ出場を果たしたが、夏は34年を最後に聖地から遠ざかる。81年ぶり出場を目指し、「高校野球100年」のメモリアル大会で伝統の力を発揮する。

 高松市の中心部。市役所や県庁のビルを見上げるグラウンドに、高松ナインの明るい声と金属音が鳴り響く。

 毎年、東大や京大に多くの合格者を出す県内随一の進学校。地元では「高高(たかこう)」と呼ばれ、1896年創部の野球部からも、黄金時代の西鉄や巨人などを率いた“魔術師”三原脩(故人)を筆頭に10人のプロ選手を輩出した。

 そんな文武両道の同校は、1915年の第1回大会に出場した10校に名を連ねるスーパー伝統校でもある。

 当時の記憶を記す資料などは空襲によって消失し、学校にはほとんど残っていない。「現役の部員は、そういう歴史をほとんど知らないと思います」と石田茂登監督(46)。高校野球100年の節目は、ナインにとって野球部の伝統を学ぶきっかけにもなっている。

 8月6日の甲子園開会式では、その10校から現役部員1人が参加し、復刻ユニホームを着て入場行進することになった。同校からは天雲大雅主将(3年)が参加する予定だが、同主将はきっぱりと言う。

 「1人で甲子園に行くのは寂しい。みんなで行った方が絶対楽しいと思う。それを目指しています」。香川大会を勝ち抜き、代表校として全員で聖地へ-。34人の部員が掲げる今夏の目標だ。

 昨秋、今春と県大会は初戦敗退だった。石田監督は「客観的に見れば戦力はBクラス」と評するが、「進学校特有の集中力や粘りはスゴい。夏は持てる力を全て出してくれるはず」と秀才軍団の底力に期待する。

 文武両道の象徴といえるのが2年生の双子兄弟、三枝尚樹と朋樹だ。ともに学年トップクラスの学力を誇り、志望大学は「東大」と口をそろえる。

 グラウンドに出れば兄・尚樹は2番打者としてつなぎ役を担い、捕手の弟・朋樹は頭脳的リードでエース・茂中航投手(2年)ら投手陣を支える。「第1回大会に出た先輩たちに負けないように、自分たちも甲子園に出たい」。兄・尚樹は言葉に力を込めた。

 初戦は16日、観音寺一-坂出工の勝者との対戦に決まった。100年の重みを感じながら戦う夏。高松ナインは厳しい戦いに向けて集中力を高めている。

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