英明“奇跡のバックホーム”で決勝進出

 「春季高校野球・四国大会準決勝、英明3-2今治西」(3日、坊っちゃん)

 昨秋の四国大会覇者・英明(香川)が3-2で今治西(愛媛)を破り、秋春連覇に王手をかけた。八回の同点のピンチで、中堅手の酒井勇志外野手(3年)が、タッチアップした三塁走者を本塁への好返球でアウトにするスーパープレーを披露。1点差で競り勝ち、春は初となる決勝進出を決めた。新田(愛媛)は2-1で高知中央(高知)を破り、初の決勝進出。4日は英明-新田の決勝が行われる。

 試合後のベンチ裏、決勝進出を決めた英明・香川智彦監督の興奮気味の声が響いた。

 「奇跡のバックホームやね!あれが大きかった!」

 3-2の1点リードで迎えた八回の守り。1死満塁の大ピンチだった。今治西の2番・中内が放った打球が、中堅手・酒井の頭上に舞い上がった。代走で出ていた三塁走者・吉武がタッチアップを試みる。

 「自分が刺さないと同点になる。思い切り投げるしかないと思いました」。ほぼ定位置で捕球した酒井は、全力でバックホーム。ボールはダイレクトで捕手・山上のミットに吸い込まれた。主審の右手が上がり、「アウト!」の声が響いた。酒井は喜ぶ仲間たちと次々に抱き合った。

 甲子園での悔しさを晴らすスーパープレーだった。大曲工と対戦した今春センバツ1回戦。六回2死二塁のピンチで、酒井は相手4番打者が放った中前への打球を捕球し、バックホームした。「楽々アウトにできるタイミング」だったが、送球はバックネットに直接当たる悪送球となり、勝ち越しの走者がホームを踏んだ。チームは1-4で敗れ、初戦で姿を消した。

 「あのミスを取り返せたと思う。決勝戦も接戦になると思うので、我慢して勝ちたい」。1番打者としても3打数3安打の大活躍を見せた酒井。昨秋に続く頂点へ、4日の決勝の相手は新田に決まった。俊足巧打、そして自慢の強肩で、2季連続の四国制覇をたぐり寄せる。

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