敦賀気比初制覇!ミラクル松本が決勝弾

 「選抜高校野球・決勝、敦賀気比3-1東海大四」(1日、甲子園)

 決勝戦が行われ、敦賀気比(福井)が東海大四(北海道)を逆転で下し、初優勝を果たした。北陸に優勝旗が渡るのは春夏通じて初めて。試合を決めたのは、準決勝で史上初の2打席連続満塁アーチを放った松本哲幣外野手(3年)。同点の八回、左翼席に勝ち越しの決勝2ランを放った。この一発で、西武や巨人で活躍した清原和博(PL学園)や、元巨人の松井秀喜(星稜)らと並ぶ大会タイ記録の個人大会通算3本塁打をマーク。“ミラクル男”が悲願の優勝へチームを導いた。

 打たせてあげよう-。甲子園の女神がそうささやいたように見えた。沸き上がる大歓声に押され、白球は左翼ポール際へ伸びていく。「打った瞬間に行ったと思った。完璧でした」。準決勝で2打席連続満塁弾の敦賀気比・松本が放った打球は、美しい放物線を描き左翼席に飛び込んだ。

 1-1の八回、先頭の平沼が四球を選ぶと鬼の形相でガッツポーズ。その姿に松本の心と体は奮い立った。犠打で1死二塁となり、巡ってきた第4打席。「真っすぐに詰まっていたので狙い球を変えた」。スライダーに的を絞った。1ボールからの2球目、内寄りの絶好球を完璧に振り抜いた。

 勝負を決する2ランにベンチは沸いた。「平沼の好投に報いたかった」。ダイヤモンドを1周し、再三のピンチをしのいだエースと満面の笑みでハイタッチをかわした。

 「昨日よりも手応えがあった」。準決勝、決勝の2試合で大会記録の3本塁打に並んだ。誰も想像できなかった2試合連続のミラクルアーチ。何よりも本人が「もうこれから先、良いことないんちゃうか」と驚きを隠せなかった。

 松本が歩んできた数奇な運命。5歳のころ、サッカーが好きで地元のサッカーチームに入った。だが7歳のときにチームがまさかの解散。その後、親の勧めで仕方なく野球ボールを手に取った。

 野球を続け、名門・敦賀気比に入学。野球部には投手として入った。しかし2年生になる直前の練習試合で、1回8失点と大炎上。東監督から打者転向を命じられた。

 昨年の新チーム結成直後には右肩を肉離れ。「もう俺の高校野球人生は終わった」。秋の福井大会でベンチ入りできず、目標を失いかけた。それでも心に刻んだ「諦めない」という言葉。幾多の辛苦を味わってきた少年を、野球の神様は見放さなかった。

 松本は笑う。「サッカーを続けなくて良かった。野球で良かった」。甲子園に数々の記録を刻んだシンデレラボーイが、北陸に悲願の大旗をもたらした。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

野球最新ニュース

もっとみる

    スコア速報

    主要ニュース

    ランキング(野球)

    話題の写真ランキング

    写真

    デイリーおすすめアイテム

    リアルタイムランキング

    注目トピックス