近江・伊東 ミャンマーで知ったこと

 「選抜高校野球・2回戦、県岐阜商3-0近江」(28日、甲子園)

 マウンドにはプロ注目の県岐阜商・高橋がいた。3点を追う八回1死一塁、代打で打席に向かった近江・伊東優作外野手(2年)は三塁線への送りバントを1球で決めた。俊足で小技が利く背番号17は「自分にできることをしっかりできた」とささやかな達成感を口にした。

 「ミスするな、足引っ張るなよ」。ベンチで祈る思いだったのが父でもある同校の伊東洋部長(47)だ。入学時、「グラウンドでは親子じゃない」と約束した。その3年前、父子には異国で過ごした貴重な時間があった。

 同部長はミャンマーが民主化前の2004年から野球を通じた人道支援を行ってきた。高野連などの協力で用具を集め、技術指導に助力して10年以上になる。次男の伊東は小学6年の12月、父の渡航に1週間帯同した。

 発展途上の国ではライン引きも石灰石を削るところから始まる。「グラウンドはボコボコで道具もボロボロだった」と伊東。それでも現地の若者は目を輝かせていた。12歳の心に強烈に残ったのは「野球は楽しい」という思い。「もっと野球が好きになった」。嫌な練習も楽しくなった。

 中学時代は反抗ばかりしていたという。それでも近江に進んだのは、父に「恩返ししたい」と思ったから。「貢献できずに悔しい。夏にまた帰ってきたい」。広い世界を見せてくれた父への恩返しはその時までお預けだ。

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