ハム大谷、足つり緊急降板も開幕初勝利

 「日本ハム5-2楽天」(27日、札幌ド)

 勝利の瞬間、日本ハム・大谷は手をたたき、満面の笑みを浮かべた。勝利の味は格別だった。初の開幕投手は5回2/3を投げて、3安打1失点。最速は159キロ。六回途中に右ふくらはぎがつり、大事を取って降板したが、最低限の役目は果たした。ダルビッシュでも成し得なかった高卒3年目での開幕星を手にした。

 「最初はどうしようもない投球でしたけど、みなさんに助けられました。勝ててよかったです」。試合後は、喜びで右足の痛さも消えていた。

 初回から満員のスタンドの視線を一身に浴びた。独特の緊張感の中、汗が噴き出した。立ち上がりは無失点で切り抜けたが、いつもと勝手が違った。

 二回はサンチェス、松井稼の連続四球から無死満塁のピンチを招く。1死後、藤田に先制の右犠飛を許したが、ここから粘った。2死二、三塁。聖沢をフォークで空振り三振。三回以降は立て直して無失点。「最少失点で抑えたのは収穫です。緊張はあったけど、大勢の中で投げられて幸せでした」。大役を何とかこなし、充実感に浸った。

 2月20日。栗山監督から開幕投手を告げられた。宿舎の自室で「頼む。チームが優勝するための姿を見せてくれ」と記した手紙を渡された。その日はミスタープロ野球、長嶋茂雄氏の誕生日。大舞台で力を発揮する真のスターに育って欲しいという願いが込められていた。「情けない投球はできないなと思った」と大谷。重圧を乗り越えてつかんだ今季初勝利は、最高の財産となった。

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