松山東83年目のセンバツ初勝利

 「選抜高校野球・1回戦、松山東5-4二松学舎大付」(25日、甲子園)

 21世紀枠で大会最長ブランクとなる82年ぶり出場の松山東(愛媛)が、二松学舎大付(東京)を下してセンバツ初勝利を飾った。県内屈指の進学校で、俳人・正岡子規が創部のきっかけをつくったとされる伝統の野球部が、創部124年目で快挙。スタンドに詰めかけた約7000人の大応援団が歓喜の雄たけびを上げた。

 聖地の空に大音量の校歌が響いた。選手たちも7000人の大応援団も、声を張り上げ歌い通した。82年ぶりの春の甲子園。松山東のセンバツ初勝利にマンモスが揺れた。

 「球場が一つになって応援してくれた。夢の世界が今、現実になりました」。OBでもある堀内準一監督(48)の声が震えた。

 スクールカラーの緑で染まった三塁側アルプス席。全国から集まった卒業生はアルプス席に収まりきらず内外野席にもはみ出した。エース右腕・亀岡優樹投手(3年)は言う。

 「苦しい時はスタンドを見ました」

 4-1で迎えた六回、亀岡は3点を失い同点に追いつかれた。なおも2死一、三塁のピンチ。だがこの時、エースはアルプスに視線を送ると「気持ちが落ち着いた」という。

 続く打者を冷静に投ゴロに打ち取って同点。そして直後の七回、3番・酒井悠佑外野手(3年)の左前適時打で勝ち越しに成功した。亀岡は緩急を使った巧みな投球で8安打4失点。打っても2安打3打点の活躍で勝利を呼び込んだ。

 愛媛県内屈指の進学校が、総力戦でつかんだ1勝だ。ベンチ外選手で構成する「データ班」が相手左腕・大江を“丸裸”にした。さらにチームには左投げの選手が一人もいないため、大阪入り後、関西在住で左利きの松山東野球部OBを募集。すると京大、阪大の在学生3人が打撃投手として駆けつけ、左腕対策に貢献してくれた。

 野球部創部は愛媛県内最古の1892年。東京から帰省した俳人・正岡子規が母校・松山中(松山東の前身)の後輩たちにプレーの仕方を紹介したことがきっかけとなったと伝えられる。

 この日、野球部OB会の一色隆士会長(66)が、子規のユニホーム姿の写真をアルプスに持参。「見てもらいたかった」と胸の前に掲げて声援を送った。後輩たちの勇姿を、子規も喜んでいるに違いない。

 2回戦は東海大四-豊橋工の勝者と対戦する。「甲子園ではどのチームも強い。挑戦者の気持ちで」と亀岡。次も大応援団が、強敵を恐れない勇気と力を与えてくれる。

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