松山東82年ぶり聖地 史上最長ブランク

 第87回選抜高校野球大会(3月13日抽選、21日開幕)の出場32校を決める選考委員会が23日、大阪市内で開かれ、21世紀枠で松山東(愛媛)の出場が決まった。1933年(第10回大会)以来、大会史上最長ブランクとなる82年ぶり2度目のセンバツ出場。多くの文化人を輩出した県内屈指の進学校で、OBの俳人・正岡子規がルーツという伝統の野球部が、長い低迷を乗り越え聖地に帰ってくる。

 坊っちゃん、正岡子規、大江健三郎…。文学の香りが漂う学舎に、待ちに待った吉報が届いた。ペンの力ではない。ひたむきに白球を追う球児たちがつかんだ快挙だ。史上最長ブランクとなる82年ぶりのセンバツ出場。在校生やOBの祝福に包まれ、松山東ナインの歓喜の声がグラウンドに響いた。

 「遠い存在だった甲子園に本当に行ける。そのうれしさと、責任を感じます」。同校OBでもある堀内準一監督(48)は喜びをかみしめるように話した。

 創部は県内最古の1892年。東京でベースボールに夢中になった正岡子規が、母校・松山中(松山東の前身)の後輩たちにプレーの仕方を教えたことが創部のきっかけとなったと伝えられる。

 1933年には春夏連続で甲子園に出場。50年には松山商との統合で全国制覇も果たしたが、その後は長い長い低迷が続いた。

 無理もない。ノーベル賞作家・大江健三郎氏ら多くの文化人を輩出した県内屈指の進学校。勉強との両立を図るため、練習時間は極めて短い。冬場は6時40分の下校がルール。グラウンドも他の運動部と共用のため、平日は内野しか使えない。

 それでも「集中して濃密な練習をやってきた」と主将の米田圭佑捕手(2年)は胸を張る。昨秋は亀岡優樹投手(2年)を中心に粘り強い野球で県大会準優勝。63年ぶりの四国大会出場を果たし、甲子園への扉を開いた。

 子規が伝えて120年余り。今も野球部員は「伝統に恥じない野球人になれ」と入部時に指揮官から訓示を受ける。「82年分の歴史を背負って、高い気持ちを持って甲子園に行きたい」。亀岡は表情を引き締めた。

 周囲の期待はふくらむばかりだ。野球部OB会では、82年前と同じデザインの“復刻ユニホーム”を作って甲子園に出場しようというプランも浮上している。狙うは82年前に実現できなかった春の1勝。「東高らしく頭を使った野球ができるチーム。思い切ってプレーしてほしい」と堀内監督。文武両道の力を甲子園で披露する。

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