古田氏が殿堂入り 反骨心が原動力に

 野球殿堂博物館の表彰委員会は23日、今年の野球殿堂入りを発表した。競技者表彰のプレーヤー表彰に元ヤクルトで捕手として通算2000安打を達成し、兼任監督も務めた古田敦也氏(49)を選出。特別表彰では、日本リトルリーグを設立した林和男氏(故人)、元朝日新聞社社長で全国中等学校優勝野球大会(現全国高校野球選手権大会)の創設に尽力した村山龍平氏(故人)を選出した。

 反骨心がつかんだ野球人最高の栄誉。「まさか、このようなところに入れるとは…」。古田氏は感慨深げに、喜びを言葉に乗せた。

 卓越したインサイドワーク、巧みな打撃技術でヤクルトの黄金時代を支えた名捕手。輝かしい実績は屈辱の瞬間からスタートした。

 メガネをかけた選手は活躍できない-。立命大時代から日本代表に名を連ねたが、そんな評価からドラフトでの指名はなかった。

 「大学4年の時は、(会見場に)テレビもいっぱい来てくれたけど指名がなかった。僕にはつらい思い出。プロに入って、絶対に活躍してやろうという強い思いがあった」

 社会人・トヨタ自動車に進み、1988年ソウル五輪では野茂英雄とバッテリーを組み銀メダル獲得。翌89年にヤクルトからのドラフト2位指名を受け、念願のプロ入り。野村克也監督の指導の下、球界を代表する選手へと成長した。

 強き心を育てた両親にも感謝だ。「父が『強い体と強い心を持て』と言ってくれたおかげで大変なプロ野球を乗り切れた。母が『誰にも負けるな』と言ってくれたおかげで負けず嫌いの性格ができた」と振り返り、柔らかい笑みを浮かべた。

 両親、恩師。そして04年の球界再編騒動でプロ野球選手会の会長として戦う背中を押してくれたファン。すべてへ感謝を込め、「今まで以上に責任が大きくなったので、球界の発展に尽力したい。野村監督から受けたノウハウを次の世代へ伝えるのも使命、仕事だと思う」と古田氏。その心を、未来へとつなげていく。

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