安楽、上甲監督との約束ドラフト1位へ

 プロ野球ドラフト会議は23日、都内で行われる。1位指名が有力な157キロ右腕の済美・安楽智大投手(3年)は22日、松山市の同校で取材に応じ、亡き恩師・上甲正典監督(享年67)と夢見た「ドラフト1位」の実現へ高ぶる気持ちを語った。また、各ドラフト候補も、運命の日を控えてそれぞれの心中を明かした。

 恩師と夢見た運命の日が、いよいよ翌日に迫った。学ラン姿で報道陣の前に現れた安楽が心境を語る。落ち着いた口調ながら、その表情には高ぶる気持ちがにじみ出ていた。

 「小さいころからドラフト1位を夢見て、監督さんと目標にしてきた。1位にこだわりはあります。不安もあるけど、今はワクワクしています」

 9月2日に上甲正典監督(享年67)が胆管がんで亡くなった。済美に入学した一昨年の春、師弟で「ドラフト1位」を誓い合った。あれから2年半。高校ナンバーワン投手と呼ばれるまでに成長を遂げ、思い描いた通り1位指名でのプロ入りが濃厚となった。

 上甲監督の四十九日を2日後に控えた今月17日、安楽は恩師の自宅を訪れ、遺影の前で手を合わせた。「ドラフトが近づいてきました」。心の中でつぶやき、あらためて夢実現を約束した。

 あまりに過酷だったこの1年。昨秋に右肘を痛め「プロに行くのはもう無理なんじゃないか」と絶望感を味わったという。8月には部内いじめが発覚。1年間の対外試合禁止処分が下り、主将として責任を感じた。そして上甲監督の死…。

 激動の日々を乗り越え、ようやく落ち着きを取り戻した怪物右腕は言う。

 「監督や先生、両親や仲間に支えられた。みんなに感謝して、指名を待ちたい」

 右肘に不安はない。MRI検査でも医師から「問題なし」と太鼓判を押され、投球練習では「157キロが出たときと遜色ないくらいの感覚がある」と復活を確信している。

 決意を示すように、上甲監督の座右の銘「夢叶うまで挑戦」を色紙に記した。「プロは厳しい世界。監督さんなら『指名されても満足するな』と言ってくれると思います」。恩師と誓い合い、こだわり続けた「ドラフト1位」。もうすぐ始まる新たな挑戦に胸躍らせながら、怪物右腕は指名を待つ。

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