延長五十回力尽くも崇徳・石岡あっぱれ

 「全国高校軟式野球・準決勝、中京3‐0崇徳」(8月31日、明石トーカロ)

 延長四十六回から再開した準決勝は中京(東海・岐阜)が、崇徳(西中国・広島)延長五十回に3‐0で勝利。世界にも例を見ない延長五十回、計10時間18分を戦った両チーム。中京・松井大河投手(3年)は709球、崇徳・石岡樹輝弥投手(3年)は689球を4日間で投げ抜いた。ゲームセットの瞬間には両チームの素晴らしい戦いをたたえる拍手がいつまでも続いた。

 延長五十回、崇徳・石岡の体は知らぬ間に悲鳴を上げていた。無死一塁から投前の犠打を二塁へ悪送球。背番号6を付け、遊撃も守る。得意のフィールディングでミスをした。「体がいうことを全然きかなかった」。続く中上にも四球の満塁から後藤に右線二塁打で2点を失い、さらに無死三塁から投ゴロで3点目を奪われた。50イニング目での初失点が決勝点になった。

 前夜、中河監督は石岡の疲労を考慮し、四十六回からをエース重松に託すことに決めていた。これを聞いた石岡は「意地になって自分に投げさせて下さいと言いました」。球場入り前にも再び志願。最後は重松が中河監督に「石岡を投げさせて下さい。僕は決勝戦で行きます」と説得した。実は石岡自身も周囲には黙っていたが、29日から肩の強い張りを感じていた。それでも準決勝のマウンドだけは誰にも譲りたくなかった。中京・松井に負けたくなかったのだ。

 「負けてしまって申し訳ない。楽しいところもあったけど苦しい夏でした。被災地の皆さんを勇気づけることはできたと思います。ただ、優勝できなくて申し訳なかったです」。涙はなかった。ときおり見せる笑顔にすべてを出し尽くした達成感すら漂わせた。689球に悔いはなかった。

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