大阪桐蔭4回戦進出 主将顔面死球で一丸

 「高校野球・大阪大会3回戦、大阪桐蔭9‐4大冠」(22日、舞洲)

 3年連続出場を目指す大阪桐蔭が、主将で1番打者の中村誠外野手(3年)が初回に頭部死球で退場するアクシデントを、エース福島孝輔投手(3年)を中心に全員ではね返し、4回戦に進出した。

 うずくまったまま起き上がれない。1点を先制された直後の一回裏。1番・中村をアクシデントが襲う。顔面直撃の死球。鼻から出血し、担架で運ばれていく主将の痛々しい姿に、大阪桐蔭ナインの心は乱れた。

 いきなり精神的支柱を失うスタート。「もう一回、落ち着いてやり直そう」。西谷監督はこう言葉をかけたが、なかなか動揺は収まらない。

 三回に一度は逆転するが、すぐに再逆転を許す。「いつもはレフトから大きな声が飛んでくる。(中村)誠がいないことで力が入ってしまった」。今夏初登板初先発のエース福島も四回までに4失点と、平常心を失っていた。

 だが、大阪の夏3連覇を目指すチームは徐々にペースを取り戻す。「誠の分まで頑張ろう」。これが合言葉となり、回を重ねるごとに選手の心は一つになった。

 2点を追う五回、相手失策で1点を返し、なお2死二、三塁で、福島が右前への逆転2点適時打を放つ。この試合3本目の安打で乗ったエースは、五回終了時に体の開きを修正し、10安打10奪三振で最後まで投げ切った。打線も六回に4得点で突き放し、今春の大阪3位・大冠を14安打9得点で振り切った。

 中村主将は鼻骨骨折で手術が必要と診断され、23日の4回戦・阪南大高戦の出場は難しい状況だ。「ここからが力の見せどころだと思います」と西谷監督。一昨年の藤浪(阪神)、昨年の森(西武)のような傑出したタレントはいない。この試合のように全員一丸で、次戦も乗り切る。

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