松井だけじゃない…ドラフト直前情報

 ドラフト会議がいよいよ24日に開催される。注目の的は、驚異的な奪三振ショーで昨夏甲子園を沸かせた桐光学園の左腕・松井裕樹投手(3年)。地元DeNAなど4球団前後の1位指名競合が確実だが、各球団が狙うのは松井だけではない。複数球団による入札が確実な逸材はまだ他にもいる。

 即戦力投手としての評価が最も高いのは、JR東日本の191センチ右腕・吉田一将投手(24)。長身からキレのいい最速148キロの直球にスライダーやチェンジアップなど変化球も多彩。そして特筆すべきは、すべての球種を正確に投げ込む制球力だ。昨年の入社から2年間で、都市対抗と日本選手権の社会人2大大会で計6勝。エースとして3季連続準優勝に貢献した。堀井哲也監督(51)は「ここで踏ん張って欲しいという試合には、ことごとくピークを合わせてきた」と、安定感を最大の長所に挙げた。

 控え投手だった青森山田では、2年連続甲子園出場も登板はなし。ドラフト1位候補と脚光を浴びるようになっても「初心というか、試合に出ていなかった悔しさを忘れちゃいけない。もう一つ落ちる球、ウイニングショットが欲しい」と、ストイックに向上を目指している。

 指名に踏み切るかどうかは各球団の事情に左右される。しかし、スカウト陣の「今年のナンバーワン投手は吉田」という評価は、ほぼ一致している。

 吉田と並ぶ即戦力の目玉とされるのは、九州共立大の最速153キロ右腕・大瀬良大地投手(4年)。187センチ、90キロのガッシリとした体格から繰り出される直球は、まさに剛球。変化球はスライダーとカットボールに加え、カーブで緩急もつけられるようになった。福岡六大学リーグでは1年から活躍し、3年時までの成績は29勝1敗と圧倒的。今年はやや数字を落としたものの、それでも通算38勝8敗にまで勝利数を伸ばした。2年時から大学日本代表に名を連ねるなど、大舞台での経験も豊富だ。

 阪神など複数球団の1位指名が濃厚。阪神の中村GMは、視察に訪れた際に「あれだけのパワーピッチャー。好素材だ」、「即戦力候補」など賛辞を惜しまなかった。馬力があり、まだまだ大きな伸びしろを感じさせるという点では、吉田とは違った魅力がある。

 松井、吉田、大瀬良は、春の段階から競合必至とされてきた3人。対照的に、秋になって一気に評価を高めたのが、東京ガス・石川歩投手(25)だ。186センチ75キロという長身細身の右腕は、しなやかなフォームで角度のあるボールを投げ込む。抜群の伸びがある直球は最速150キロ。左打者の外角に沈むシンカーが特徴的で、大きなカーブもある。

 昨年もドラフト候補に挙がったが、無念の指名漏れ。悔しさをバネにトレーニングを積み、最速を大台に乗せた。8強入りした今夏都市対抗では先発で2勝。今月14日まで行われた東アジア競技大会では、日本代表の守護神として4試合に登板。金メダル獲得に貢献し、胴上げ投手にもなった。

 「今、一番いいのは石川」、「ものすごく良くなっている」と、成長ぶりにスカウト陣からは驚きの声があがる。ある球団のスカウト部長は「1本釣りどころか、1位競合もあるかもしれない」と、評価の高さを口にした。

 “いの1番”での1位指名が確実と言われるのはこの4人。外れ1位候補は、150キロ台の速球を誇るセガサミー・浦野博司投手(24)、富士重工・東明大貴投手(24)の社会人即戦力投手が人気だ。そこに、将来性を高く評価される大阪桐蔭・森友哉捕手(3年)、東海大甲府・渡辺諒内野手(3年)、花咲徳栄・若月健矢捕手ら高校生野手が加わる構図。「上位候補が少ない」という声もあった今年のドラフト戦線だが、原石たちの輝きに各球団がどのような判断をするのか、注目したい。

(デイリースポーツ・藤田昌央)

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