加藤コミッショナーようやく辞任表明
プロ野球の加藤良三コミッショナー(72)が19日、都内で行われた12球団オーナー会議に出席し、統一球変更問題の責任を取って、辞任する意向を表明した。来年6月まで任期を残していたが、日本シリーズ開幕前日の10月25日までに退任する。シーズンの佳境にトップ不在となる異常事態。後任は未定だが、人選は混迷を極めそうだ。
電撃辞任となった加藤コミッショナーは、笑みを浮かべて会見場に現れた。辞任の理由について「統一球でお騒がせし、ファンや関係者の皆さまにご迷惑をおかけした」と説明。統一球を今季から飛びやすく変更しながら公表していなかった責任を取った。6月に問題が発覚した直後の会見ではいら立つ場面もあったが、この日は吹っ切れた様子で言葉を発した。
テレビカメラ18台、報道陣200人が集まった記者会見。優勝争いが大詰めを迎えている中で表明したことについて、質問が集中した。9月27日には第三者委員会の最終報告が行われるが、加藤コミッショナーは「私の指針を明確にした方がいいと思った」などと同様の答えを繰り返した。
これまでファンや選手会からも辞任要求されるなど、厳しい批判の嵐にさらされてきた。そのたびに、コミッショナー職に固執していないことを強調。それでも「(変更を)全く知らなかった。不祥事ではない」と辞任を固持し続けてきた。この日は一転して辞任を決意した形となった。
加藤コミッショナーの語気がやや強まったのは、過去の発言などについて問われた時だ。「私自身、申し上げてきたことに変化はない」ときっぱり。第三者委員会の聞き取り調査にも「知っていることを誠実に申し上げた」と話した。
今後は一刻も早い後任の人選が待たれるが、難航は必至の状況だ。会見に同席したオリックス・宮内オーナーが頭を抱えた。一方で加藤コミッショナーは2020年の東京五輪開催が決定したことを引き合いに「スポーツというものにいい風が吹いている。野球もなるべく早くフレッシュなスタートを切った方がいいと思った」と淡々と話した。