浦学・小島が号泣…熱投182球実らず

 「全国高校野球・1回戦、仙台育英11‐10浦和学院」(10日、甲子園)

 史上8校目となる春夏連覇を目指した浦和学院(埼玉)がサヨナラ負け。初戦で姿を消した。秋の明治神宮大会王者の仙台育英に対し、2年生エースの小島和哉投手(2年)は九回2死、182球で力尽きた。2番手・山口瑠偉投手(3年)が熊谷にサヨナラ打を浴びた。V候補の壮絶な戦いに4万2000人の観衆は試合終了の瞬間まで熱い声援を送り続けた。

 涙が止まらなかった。浦和学院・小島は、森士(おさむ)監督(49)に寄りかかるようにして頭を下げた。「自分が全部ぶち壊してしまった。自分の責任」。試合後の取材はもう立っていられなかった。首の後ろに氷のうを当て、ペットボトルを持つ手はわなわなと震えた。9安打9四死球11失点。しかし、魂を削った182球の熱投は、聖地の記憶に深く刻み込まれた。

 まさかの立ち上がりだった。制球が定まらず、直球が浮いた。初回に押し出し3つを含む5四死球などで6失点。ここで費やした球数が最後に響いた。「六回か七回の投球練習で少し感じた」という左足の異変。同点の九回1死、加藤への1球でつった左足を何度も伸ばした。水分を補給しながら、ベンチでの治療の打診には首を振った。

 「治療している場合じゃない。誰にも譲らないで、自分でぶち壊したから、最後まで投げきりたかった」。顔には幼さが残る17歳が見せた背番号1の意地。しかし、2死後に左前打を打たれて降板。直後にサヨナラ打をベンチで見届けた。

 大量失点にも、森監督はエースを責めなかった。「最終的にはピッチャーを見殺しにしてしまった感じ。終盤、フラフラの状態の小島を代えられなかった私に責任がある。できることなら最後まで小島で、と思っていた」と唇をかみしめた。

 センバツの優勝後も、小島におごりはなかった。投球フォームの改良に着手。下半身主導の形を追い求めた。ダッシュも増やし、酷暑の投球に備えてきた。この日も八回無死満塁とされながら、すべて138キロの直球を決め球に、ドラフト上位候補の上林らを3者連続三振。「小細工ではダメだと思った。気持ちで行くしかないと思った」という直球勝負で、成長を証明した。

 壮絶に散った春夏連覇の夢。しかし、小島の戦いにはまだ続きがある。「鍛え直して、絶対にまた戻ってきます」。誰にも負けない左腕になって、今度こそ夏の日本一をつかみ取ってみせる。

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